PEAに除細動は禁忌…というか無効です。
今回は心停止の一つに含まれるPEAという状態の理解が深まるように進めていきます。
無脈性電気活動(PEA)とは?
PEAとは心電図上、心室細動(VF)、無脈性心室頻拍(pVT)以外の何らかのリズムを認めるが有効な心拍に至っていない状態を指します。一言でいうと超低血圧な状態です。
繰り返しますが血圧の維持ができていませんので、特定の心電図リズムというよりは徐脈なこともあれば洞調律に見えることもあります。
よって、脈を触知せず心電図モニターだけみててもPEAなのか判断できません。
むしろ心リズムやHRが表示されてますので、混乱してPEAを認知できない場面をよく見かけます。
ここは心停止の対応に基づき以下項目で評価します。
「反応なし」
「呼吸なし(もしくは死戦期呼吸)」
「頸動脈触知できず(または10秒以内に判断がつかない)」
無脈性電気活動(PEA)になぜ除細動が禁忌か
まず、心室細動(VF)や無脈性心室頻拍(pVT)への除細動の効果を考えてみましょう。
これら2つの不整脈は心臓の電気活動(心リズム)が異常となっています。
除細動は電気ショックで心臓の電気活動リセットしますので、秩序あるリズムに戻ることを期待しています。
スマホで例えるなら急にフリーズしてしまうので再起動するようなものです。
よって、VFやpVTでは早期除細動することで自己心拍再開(ROSC)させることを期待します。
一方でPEAでは心臓の電気活動には問題がありません。脱水や出血など循環血液量が減った場合では空打ちのような状態になりますし、低酸素では心臓のエネルギー源である酸素が枯渇した結果、機能が低下し超低血圧な状態に陥ります。心筋梗塞や心不全で心臓のポンプ機能が低下した場合でも血圧が保てずPEAとなる可能性があります。
このような状態に除細動(電気ショック)でリセットをかけても無意味であることは言うまでもありません。
懲りずにスマホで例えるならバッテリーの問題なのに再起動を試すようなものです。
心静止(Asystole)も同様です。
除細動(電気ショック)を実施したところで、何らかの原因で電気活動すら生じてないので無効です。
さいごに
看護師にむけたPEAのアンケート結果を共有します。
PEAを「知っており理解している」と答えたのは18.6%に留まっており、「聞いたことない」「知ってはいたが理解していなかった」は合わせて81.4%といった結果でした。
もう一度いいますが、PEAを理解していないとCPRを始められないこともありますし、院内でおこなう二次救命処置では悪影響を及ぼすこともあります。PEAの理解を深めるための動画も用意しました。
ぜひ、PEAという状態を説明できるようにしておきましょう。
(同僚にも聞いてみてください)
[…] 無脈性電気活動(PEA)が除細動の適応とならない理由 […]
[…] 無脈性電気活動(PEA)が除細動の適応とならない理由 […]