気管挿管の介助

はじめに

気管挿管の介助って経験できる頻度がそんなにない場合も多く、苦手意識ありませんか?

私自身なんとなく介助はできるようになった後も、テープの固定方法に自信がなかったり、その後の対応ができるかな?という不安が強かったのを覚えています。今でもBVM(バッグバルブマスク)で換気不能になったり、挿管困難な症例を経験すると怖いです。

また、新型コロナウイルスでエアロゾルによる感染が問題になることから、気管挿管の優先度があがりました。対応人数を制限したりする場合も多く、経験する機会が少なくなっているケースもあるようです。

まず、基本の流れや原則を理解していくおくことで、気管挿管への不安を軽減していきましょう。気道管理シミュレーターがなくても、必要物品さえあれば介助や固定の練習ができますので、部署で練習したり教育としてスタッフに提供してみてください。

気管挿管の目的と適応(MOVESで覚える)

1.急変時に気道確保が必要な場合

2.全身麻酔下で気道を確保する場合

3.人工呼吸器管理が必要な場合

気管挿管の適応

  • MaintainAirway/Mental Status 上気道の問題/意識障害(GCS≦8)
  • Oxygenation 低酸素血症
  • Ventilation 換気障害
  • Expectoration/Expected course 喀痰不良/今後必要そう
  • Shock ショック

必要物品や環境

  • 喉頭鏡
  • スタイレット
  • 気管チューブの目安男性:8mm 女性7.5mm (Frではないので間違えないように)
  • 潤滑剤
  • カフ用シリンジ
  • 固定用テープや器具
  • 聴診器
  • 吸引セット
  • バイトブロック(必要時)
  • CO2カプノメーター(あれば)
  • PPEの装着
  • 患者のポジショニング(スニッフィングポジション)
  • ベッドの高さ調整
  • 義歯の除去
  • 鎮静剤や筋弛緩薬の準備
  • 人工呼吸器の用意

実施の流れ

ポイント

  1. 心電図モニターを見やすい位置に置く
  2. 患者のポジショニングや喉頭展開は重要。 ※お互いに焦らせないよう冷静に使いやすい状態で介助していく
  3. 気管チューブの位置確認は必ず複数の方法で実施
    □CO2カプノメータがあるなら絶対使おう!
    □視診による胸郭の上がり
    □チューブの曇り
    □聴診による呼吸音の確認
    ※心窩部から胃泡音の有無を確認する:5点聴診


動画(9:16)


ステップビヨンド

📚○✗問題

気管挿管の適応として喀痰不良や今後必要になりそうな状況も該当する

  • ×

正解!

不正解...

正解はです。


解説
設問のとおりです

問題に戻る

気管挿管のチューブサイズ目安は男性:7.5mm、女性6.5mmである

  • ×

正解!

不正解...

正解は×です。


解説
男性8mm 女性7mmから7.5mm程度です。単位もFrではなくmmなので注意

問題に戻る

気管挿管の位置の確認として聴診する場合は心窩部から確認する

  • ×

正解!

不正解...

正解はです。


解説
食道挿管かどうかを判断します

問題に戻る

気管挿管の留置が正しくできているかは聴診だけすれば良い

  • ×

正解!

不正解...

正解は×です。


解説
聴診だけでは不十分です。胸郭の上がり、チューブの曇、可能ならETCO2など複数の身体所見とデバイスを使いましょう。単位もFrではなくmmなので注意

問題に戻る

呼吸不全の患者にBVMで換気後、気管挿管を実施した。聴診による気管チューブの確認をしたところ心窩部が膨隆してきた。またCO2カプノメーターは表示されなかった。適切な対応はどれか(113E23)

  • a.直ちにチューブを抜去する
  • b.カフを注入する
  • c.換気を2分間継続する
  • d.気管チューブを3cm程度挿入して再度換気する
  • e.気管吸引を実施する

正解!

不正解...

正解はa.直ちにチューブを抜去するです。


解説
食道挿管なので抜去するのが正解です

問題に戻る

75歳の男性。S状結腸癌のため全身麻酔で腹腔鏡下S状結腸切除術を行うため手術台に移動した。身長164cm、体重58kg。静脈路を確保後、酸素マスクで酸素化し、急速導入で麻酔導入を行い気管挿管した。麻酔回路に接続し、酸素流量5L/分で呼吸バッグで手動換気した。上腹部聴診では空気の流入音はなく、右肺の呼吸音は聴取できたが、左肺の呼吸音は確認できず、左胸郭の上がりは不良だった。胸部打診では左右差がなかった。気管チューブの目盛りは門歯の位置で28cm。 カプノグラフの波形は出現しており、SpO2は89%を示していた。

低酸素血症の原因として最も可能性が高いのはどれか(114B40)

  • a.気胸
  • b.片肺挿管
  • c.食道挿管
  • d.気管支けいれん
  • e.気管チューブ閉塞

正解!

不正解...

正解はb.片肺挿管です。


解説
a.気胸の場合打診で左右差がでる
c食道挿管の場合カプノグラム(ETCO2)は表示されない
d気管支痙攣もありえるが両側に喘鳴を伴うため除外
eチューブの閉塞であれば換気ができない、かつカプノグラムもでないので考えにくい

問題に戻る

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